私も、こういう仕事してると家を建てるにあたっていろんな人を見てきました。
仕事として戸建て住宅に関与してたのは20年くらい前の話なので、今はまた金利の状態とか、借り入れする金融機関などの状況も変わってきましたね。
さらに最近では住宅ローンの金利が低くなったこともあり、結構あちこちで分譲マンションを含め、建売住宅の販売を見かけます。
同世代の知り合いとかが家を買ったというと「じゃあうちも」ときっかけになるのは結構なのですが、きちんと資金計画できていますか?
「あそこが買ったからうちも」なんて安易に購入すると大変な事になります。
とくに夫婦の収入を合算して借り入れをするペアローンの場合には、メリットの反面デメリットも隠れているので注意が必要です。
住宅ローンをペアローンにするメリット
マイホーム資金を夫婦二人の名義で借り入れをするペアローンにはこんなメリットがあります。
- 物件の選択肢に余裕ができる
- 税金が返ってくる
借入額が大きくなって選択肢が増やせる
さて夫婦で収入を合算すると家庭の収入が当然増えます。
そうなると借入可能額も大きくなりますから、敷地の立地や住宅の設備、グレードというものが選択肢が増えます。
どうせならより便利なところ、広いところ、良いものを建てたいと思うのは誰しも同じことを考えるものです。
住宅ローン控除が使えるので二人分の税金が返ってくる
マイホームを買う時に必ず出てくるキーワードとして住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)というものがあります。
これは所得税が計算された後に引いてもらえる税額控除に該当するので、非常に節税効果が高いもの。
最近でこそ縮小されつつありますけど、ペアローンであれば夫婦それぞれの所得税が還付されるので、節税効果としては大きいのです。
ただ、これらのメリットには大きなデメリットも隠れています。
共働きが出来なくなった時には家を手放さなくなる可能性も
共働きが前提のローンで大丈夫?
夫婦どちらかが病気やケガをする
何が言いたいのかといいますと、万一どちらかが病気やケガなどで仕事が続けられないという事態に陥った場合どうなるのでしょうか?
長期入院だったり、リハビリといった長期療養になりますと収入減は必至ですが、基本的に住宅ローンの返済は待ってくれません。
また、出産というケースもあるかもしれません。
私も経験上、地鎮祭の時に「妻が妊娠しまして」っていうびっくり報告を受けたことがあります。
介護者が増える
住宅購入を考える時にはそうでもなくても、10年くらい経つと両親の介護などが必要になる可能性があります。
今どきのことですから、施設や病院にお願いするという選択肢もあるでしょうが、それに伴い出費が増えるのは目に見えています。
また、自分の子供が病気やケガで介護が必要になる可能性だってあります。
これは私も想像してませんでしたが、いざ自分がそういう立場になると無視できないことです。≫ 交通事故の被害者の生活をちょこっとだけ語ってみる
間違いなく10年、20年といった長いスパンで考えた時には自分は変わらないつもりでも、親や子どもといった身の回りの環境は変わります。
リストラや給与(手当)のカット
私が家を建てた時は、勤続10年というタイミングでしたし、まあそれなりに年収が増えていったタイミングでした。
ところがその翌年に起きたのがリーマンショック。
立て続けに東日本大震災や民主党政権で仕事の環境というのは非常に悪くなり、私も年収ベースで2割下がりましたので、あれが数年ずれていたら今頃この家はなかったかも知れません。
ほかにも残業がなくなったり手当てが切られたりと、収入が減ったという人は多くいましたけど、それ以上に職を失うかもしれないというのは恐ろしかったです。
離婚
ペアローンにすることで夫婦が一緒に頑張ろうとなるのがベター。
そうかといってこれだけ離婚が多い世の中ではそうならないのも事実。
どちらがその家に残るのかはわかりませんが、当然どちらかは住まない家にローンを支払う、もしくは家に残ったほうが支払うわけですし、離婚したからと言って債務(ローン)がなくなるわけではありません。
家は家族のすべてじゃない
このブログでも何度も言ってますけど、私は持ち家派ですので「家を買いたい」「建てたい」と思う人は応援したいと思います。
持ち家派の人にしてみれば、マイホームで家族が団らんするというのは幸せの条件の一つかもしれません。
でも、家族にとって家が全てではないのです。
連休には遊びにも行きたいだろうし、時には外食だってしたいだろうし、もちろん子供の教育資金や自分たちの老後資金だって必要です。
にも関わらず、ペアローンにしたことで支払いがいっぱいになって娯楽が楽しめないというような借り方は、どう考えてもおすすめできないです。
ペアローンだからこそ資金計画には余裕をもちたい
私は古い考えの人間なので、自分に何かがあっても妻や子供が住む場所に困らないということを意識して単独での借り入れにこだわりました。
その結果リーマンショックの時にも妻がパートで働きに出ることでしのげましたし、子どもが事故で入院してパートに出られなくなった時でもなんとかしのいでこれました。
ただこれだけ資材の高騰で住宅価格が上がっているとそうはいかないのも事実なので、ペアローンで住宅ローン控除を利用するというのも手段です。
大抵の人は何事もなく払いきってしまう人が多いわけですけど、それでも中には払えなくなって手放すという人も少なからずいらっしゃるわけです。
私も持ち家派だからこそ、家に対する思いはあります。
どうか無理な資金計画だけはして欲しくないなと思いました。
▽住宅ローンの金利交渉の記事です
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