飲食業界の株主優待の中でも特に人気のコロワイドグループが、大戸屋に敵対的TOBを仕掛けました。
その結果大戸屋は11月上旬に予定されている臨時株主総会次第で、現在の役員の一部を解任、ひょっとしたらコロワイドグループから役員を送り込まれ経営方針の変更を余儀なくされる可能性が高そうです。
が・・・
ちょっと面白いツイートを見かけてしまったのでご紹介していたのですが、ツイ主さんがツイートを削除されたので大雑把に話の流れだけ。
簡単にいうと、大戸屋創業者の息子さんがコロワイドを追い出され、コロワイドと協力をして大戸屋を取り戻しに行ったのではないか?という話。
実際に、2019年10月1日の日経新聞ではこのような記事が。
コロワイドに株式を譲渡した大戸屋HDの創業家は、17年に智仁氏の処遇などを巡り経営陣と対立していた。今回、創業家が株を売却した理由はコロワイドも大戸屋HDも明らかにしていない。
コロワイド、大戸屋HDの筆頭株主に 創業家の持ち株取得
なんか創業者の親族と大戸屋、そしてコロワイドに何かあったのはホントっぽい。
これで創業者親族が返り咲くと、大どんでん返し!!
ということで、ちょっと興味があったのでいろいろ見てみました。
大戸屋へコロワイドが敵対的TOB
やよい軒と比較しても個人株主が多い
大戸屋と同様の業種としてふと思いつくのはやよい軒。
できたてのお弁当を持ちかえり出来るほっともっとを展開するプレナスが運営します。
両社の株式数の割合はこちら。
プレナスは個人の株主が30%~40%に対し、大戸屋は2018年期までは約80%が個人の株主。
大戸屋HDは一貫して「コロワイドのセントラルキッチンが導入されれば、店内調理の良さ、大戸屋の味が失われてしまう」(窪田健一社長)と株主に訴え続けてきた。創業者精神とも言える、店内キッチンで生み出される味へのこだわりを前面に押し出して戦ったとも言える。しかし「大戸屋で食事をする消費者=株主」ではない。もちろん、大戸屋で食事を楽しむ株主も多いだろうが、大戸屋で一度も食事をしたことがなくても株主にはなれる。
大戸屋、TOBで敗北 戦いの場「キッチン」にあらず
2020年9月14日付の日経新聞では、利用者=株主ではないと書かれていますが、実際に株主の中に大戸屋のファンは結構いたんじゃないかな?という推測です。
創業者のクーデター?
でも気になりませんか?
個人の株式をそれだけ集めるのって大変そうです。
そこで冒頭でご紹介したツイートの中にあった「創業者の息子さんがコロワイドと画策してTOBで乗っ取りへ」という内容。
こちらは前述した株式数ベースの株主の割合。
2019年3月の時点(2018年期)で約20%近く保有していた創業者たちの株式が、2020年3月期にはなくなり、その分がコロワイドに渡っているのです。
やはりツイートの通り、裏で何かしらの画策があったのは事実の様です。
株主優待で企業は守れるのか?
たぶんコロワイドもそうなんですけど、株主優待が魅力で株を持っているという人も多いと思います。
最近はコロナの影響で業績の悪化、株主優待の廃止や中止といった企業も増えていますけど、長期保有を期待して株主優待を設定することは果たして株主の長期保有ということになるのでしょうか?
大戸屋とやよい軒の株主優待の比較
今後変更になる可能性はありますが、現在の大戸屋の株主優待の内訳。
3年未満 | 3年以上 | |
---|---|---|
100株以上 | 2,500円×2 | 3,000円×2 |
500株以上 | 6,500円×2 | 7,500円×2 |
1000株以上 | 13,000円×2 | 14,000円×2 |
100株以上で年5,000円分の優待券がもらえ、さらに長期優待として3年以上になると年6,000円。
一方こちらはプレナス。
100株以上 | 2500円 |
1000株以上 | 5000円 |
長期優待はないし、年に2,500円分ほどしか優待がもらえません。
今はTOBで株価が上がってしまっとはいえ、大戸屋の優待利回りはなかなか魅力的に映るはずですが、実際大戸屋のファンの人に店内調理だから通ってたという人がどれだけいたのかということを考えるとちょっと疑問な気がします。
少なくとも自分は店内調理だからという理由で行ったことはないな。(むしろ知らなかった)
TOB価格に優待目的の個人株主が負けた?
実は大戸屋ホールディングスの株価は、リーマンショック時期に一時1000円割れという株価があったものの、それ以降は順調に上昇しており、過去10年の高値でも2019年11月につけた2,694円。
コロナ禍以降だと2,560円が最高値です。
そこへコロワイドが仕掛けたTOBの価格は3,081円。
コロワイドは大戸屋HDの株主をピンポイントで攻めた。そのために用意した「ごちそう」はプレミアム。TOB価格は開始直前の株価に46%も上乗せした1株3081円だった。
大戸屋、TOBで敗北 戦いの場「キッチン」にあらず
直近のチャートのなかで一番高値で買っても5万円以上の利益。
優待10年分の利益が出るんなら俺売るわ!!
優待が目的で保有している個人株主でも、こんな発想になりそうです。
議決権行使は株主にとって行使しやすい方法を
ほかにも記事に気になるところを見つけたので、もう少し引っ張ります。
行使された議決権の過半数を取ることが取締役選任の条件だが、コロワイドが47%弱を握った今、議決権行使比率(6月は72.9%)を考えると6月の定時株主総会とは違ってコロワイドの勝ちは見えている。
大戸屋、TOBで敗北 戦いの場「キッチン」にあらず
大戸屋の議決権行使は73%。
コロワイドの議決権47%分をひっくり返そうとすると約95%程度の議決権行使が必要となり、実際にはこれだけの議決権の委任状なりを確保するのは不可能ということでTOBが成功したということの様です。
ただこれを見て思うのは議決権行使を未だに書面で行っている会社も結構多いです。
おそらく多くの方が「議決権行使のハガキの投函を忘れた」という経験をお持ちだと思うんですよね。
せっかくWEB議決権行使のシステムが出来上がっているのだからもっと多くの企業に導入してほしいですし、あわよくば長期優待よりも議決権行使で何かもらえるといったことがあると嬉しいかなぁ。(願望)
愚かな理由っていうのは、失敗談としてこちらに書いてます。
コロワイドが大戸屋に仕掛けた敵対的TOBの裏にあった人間関係が面白い
今回ナゼこんなことが気になったというと、先日久しぶりに家族でやよい軒に行きました。
ごはんのおかわりも無料だし、牛丼チェーン店とかとはまた違った料理を食べられるとことで、近くにあったら通いたいなと思いました。
そこで思ったのは、やよい軒(プレナス)であれば大戸屋のやり方を残したまま改善する方法を模索したんじゃないんかな?と思ったからです。
まあ会社の経営はそんなになまやさしいものではないんでしょうし、ドタバタに巻き込まれている大戸屋サイドは大変でしょうけど、今後元のツイートにあった大戸屋の親族が本当に戻ってくるのか、大戸屋がどういう変化をしていくのかというのは気になるところです。
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