もうかれこれ20年以上前の話となりますが、私が気ままな大学生活から一転、就職して働いたお金で生活するということに限界を感じていた時の話です。
給料以外の副収入を得たいがために、恥ずかしながら大学時代の友人に誘われる形でマルチ商法と呼ばれる世界へ足を突っ込んだ経験があります。
結果としては誰も巻き込むことなく足を洗ったわけですけど、人の繋がりの中でいろんな世界を見られてよかったなと思える体験でして、あまり人には言わないのですけど、ちょっと書いてみたいと思いました。
マルチにはまる前の経済状況
私が当時23歳、社会人1年目のことでした。
学生時代に作った車関連のローンや家賃、光熱費などを支払うと、月に自由にできるお金は4万円。
単純計算すると1万円で、当時はタバコを吸ってましたし、そこから車のガソリン代や食費なんかを出すととても贅沢できるような身分ではありませんでした。

冬が近づくと、懐の寒さにも堪えるようになり、「給料以外の収入が欲しい」「給料だけではやっていけない」というお金の悩みと、気ままな大学生活とのギャップの大きさに耐えられなくなってました。
給料と仕事内容のバランスに違和感を感じ、仕事が終わってからのアルバイトや会社を辞めてもっと給料のよい別の仕事につくという選択肢も考えていました。
大学時代の友人から突然の電話
就職して散っていった友人たちも、まだまだ独身の頃には足軽に広島に集まっては飲み会なんかをしてました。
そんな折、友人の一人から「飯食おう」って誘われたんです。
てっきり酒でも飲もうって話しかと思うと、指定されたのはファミレスで、友人の横に座っていたのは、まったく見も知らない男でした。
マルチへの勧誘
今となって思いだすと、友人もその当時私と同じ様な収入面で悩んでたみたいで、自分と同じ境遇に共感しつつ、最後は押し切られる形で「じゃあやってみるわ」って話になったんです。
当時ローンの支払いで精いっぱいのところに、さらに30万以上のクレジットが加算されました。
そして来たものは・・・FAX。
まあ、ご存じの方はご存じでしょうし、興味があれば検索してみてください。
ちなみにマルチ商法というのはいいイメージがありませんが、連鎖販売取引と言ってそれ自体は違法性のあるものではありません。
化粧品のノエビアなども同様の販売取引によって広がったものと言われています。
ただ、押し売り的なイメージがあるので、決して良いイメージだけではありませんし、トラブルのもとになるケースが多いので、悪いイメージが付いて回りますよね。
マルチで知り合った人たち
実はここで終ってしまえば、冒頭で触れたような「人の繋がりの中でいろんな世界を見られてよかったなと思える体験」なんてものはなかったわけでして、その活動の中でいろんな人に出会うことが出来ました。
本業を持つ個人事業主との出会い
このサービスに入ってる人たちは、それぞれ本業を持つ人も多くいました。
いろんな人に会う中で、本業では別の商売をしていつつ、別の事業として取り組んでいる人も多くいました。
そんな人との出会いの中で、自分の勤める会社レベルの社長たちとも知り合うことができ、自分で事業を興すことの難しさや経営者ならではの悩みといったことを、話の端々で知る機会に恵まれました。
事業の広がり
また経営者同士の繋がりの中には、一会社員には回って来ないようなビジネスチャンスというのが隠されてるんじゃないかと思うのですが、幸いにもその仕事の手伝いをさせていただくことが出来ました。
それが携帯電話の代理店のお手伝いという仕事と、その当時はまだ珍しかった携帯電話を定額で話し放題にできるというサービスでした。
携帯電話の代理店のお手伝いというのは、ドコモ、au(当時はセルラー)といった三大キャリアの契約者や機種変更といった契約を取ると、代理店から手数料が支払われるものでした。
今と違い、新しい機種が出るたびに電話自体も明らかに進化していくような時代(カラーモニターではなかった)でしたから、新しいキャリアに変えつつ新しい携帯を手にするということに抵抗のない人もいたりと、結構順調にお金になりました。
ちなみにこの仕事でもマルチで手にした端末は、FAX本来の機能として活躍してくれました。
後者の方は一時期私も利用してたことがありますが、通話品質が安定せず売り物にはなりませんでした。
マルチの借金は人の繋がりの中から返済
結果としては誰も勧誘することなく、私自身その商法から抜け出していったわけなのですけど、おかげでマルチで組んだローンはすべてここから返済をすることが出来ました。
私としては誰にも迷惑を掛けず、自分の作った借金を返済することができたうえに、むしろ収益的にもプラスで終われたのでいい経験となりました。
副業で中古車を売った
実はこれと並行して、同じように会社員をしながら副業していた友人がもう一人いまして、彼は中古車の販売をしていたのです。(厳密に言うと、懇意にしてる中古車屋さんに紹介して、仕入れ額との差額を手数料としてもらうという形です)
たまたま縁あって、車が欲しいという大学生に知り合うことができ、その友人と中古車の販売したんです。
その中古車の仕入れ額と、その車の中古車市場の価格の差に驚愕しながらも、友人との折半とはいえ、当時としては比較的大きな利益を手にすることが出来ました。
金融事故の怖さ
この経験の中に、もうひとつ経験したことがあります。
その車の代金はさほど高額な車でもなく、購入してくれた大学生はクレジットを組むという事で手続きをしました。
私自身も大学生時代に経験したような金額の車で、当然クレジットが通ると思っていたところ、クレジット会社から却下されたんです。
クレジット会社から否決の内容は教えてもらえませんでしたし、あくまで推測ですが、本人としては初めてのクレジットだったことから、「本人より親の金融事故だったんじゃないか?」とその車屋さんからは言われました。
まあ、その学生にしてみれば車が必要だったことは間違いなさそうで、最終的にはその親が現金で支払ってくれたおかげで、その当時の私は収入を手にすることが出来ました。
ですが、「親の金融事故が子供にも影響する可能性がある」という事を知った経験でした。
マルチから目が醒めたきっかけ
これらの事案から目が醒めていった経緯は、収入の継続性という点です。
その頃になると、携帯販売の妙味は徐々に小さくなっていきましたし、車を欲しがる大学生と知り合うきっかけもなくなってしまいました。
それ以前に、自分には仕事をする上で必要な資格があったり、当時付き合っていた彼女との将来のこと(後に破局)や、昇給で若干生活が楽になったことなどなど、複合的な理由から目が醒めていきました。
一番には「マルチで作った借金がなくなった」というのが精神的に大きかったように思います。
まとめ
あの世界で成功する人は少数の人たちではありますが、私もその世界に参加することでその当時の自分には経験できないような面白い世界や経験をすることが出来たなぁと今でも思います。
いくつになってもお金の悩みというものは尽きないわけですけど、大学生のころからもっとお金に関する情報を手に入れて散財しなければ、また違う社会人のスタートを切ってたかもしれませんね。

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