私アラフィフ世代っていうのは就職氷河期と呼ばれた世代らしい。
世間では3高といって、学歴が高いことが一つのステータスとなったけど、あの頃の大学受験の倍率って半端なかった。
40倍とか50倍っていうのが普通だったからね。
1クラスに40人以上いたけど、割合でいうとその中で1人受かるかどうかっていうレベル。
ちょうどバブルが弾けて働き口も少なくなって、でも「大学4年行ってるあいだにまた景気は回復するでしょ」くらいに思ってた人も多いはず。
でも自分たちが卒業するころ、特に短大の女子学生なんかは会社案内をもらうのに100通近く書いても返ってくるのは1社か2社っていうレベルだったらしい。
しかもあの頃は今みたいにエントリーシートではなくって手書きの郵便だから、その大変さは理解できる。
自分は適当に選んだ今の会社にとんとん拍子で就職したから(←)実感なかったけど、やっぱり氷河期っちゃ氷河期だったのかもね。
そしてこのころかな、フリーター、いまでいう非正規社員という生き方がもてはやされたのは。
当時のことは記憶にないんだけど、正社員と比べてフリーターのほうが手取りが多い(引かれるものが少なかったらしい)、そして時間に自由ということで、「自由な生き方」というのが流行った時代。
だから大学を出ても、そのままフリーターで食いつなぐという人も少なからずいて、自分のまわりにもいた。
「ジロくんも大学出てフリーターになったら?正社員で働くより収入も多いし、休みたいときには休めるし」
そんな甘い言葉に誘われて、本気でフリーターヘの道を探してた。
たぶんまだ終身雇用っていうものが存在していて、一度就職したら死ぬまでそこにいるっていうのが多くって、下手な会社に就職しないほうがいいっていう考え方もったような気がする。
そしてある時親と「就職どうするのか?」という話になったときにその話をすると
「お前は一体何しに大学まで行ったんだ?いい加減な生き方をするんじゃない!!」
めっちゃ怒られたし、完全否定された。
多分厚生年金とか失業保険、労災といったものが正社員には整ってるってこともあったんじゃないかな?
その後大学の周りの友人の影響とか付き合ってた彼女とかとのこともあって自分は今の会社に正社員として就職したわけだけど、時間が経ってみるとそれはとても正解だった。
あるときバイト先に近況報告がてら顔を出したら、私をフリーターへの道に誘ったその人はもう就職を諦めていたし、今で言う「こどおじ」になってた。
ご存知のように失われた〇〇年で景気も回復するでもなく、今からは信じられないくらいに本当に雇用がなかった時代、大学出てアルバイトを転々としている者に正社員の道はとても厳しかったようだった。
「今の(フリーターの)状態じゃ結婚もね…。」
このセリフは今でも印象に残ってるけど、今思うと「そりゃね…」と。
その後フリーターという言葉も聞かなくなって「派遣社員」というものに変わったけど、リーマンショックの時に真っ先に解雇されたのは派遣社員だったし、不安定な雇用状態であるっていうことに違いはなかったと思う。
この話を書こうと思ったのは、春先にこんな記事を見かけたから。
今はあの頃よりいろんな生き方が選べる時代だし、個人の考え方とかが尊重される時代。
そして厄介なのはSNSの存在。
あれでキラキラした生き方してる人を見かけると、若さゆえにそっちに魅力を感じる若者も多いと思う。
だから子供の生き方や選択に口を出すとすぐ毒親だ老害だと言われかねないけど、もしもあの時「まあお前の人生だしな、好きにしたらいいんじゃないか?」と言われていたら、きっと今の生活はなかったように思う。
逆にもっといい人生だったかもしれないけど、その確率は低そう。
あの頃と違うのは、自由が多く選べるようになった代償は、付きまとう自己責任の度合いが大きくなってるなって思う。
親が子供の人生を面倒みてやれるだけの経済力があれば別だけど、安易な逃げる道に進もうとしたとき、親はきちんとレールを引き直してやるべきって、今でも思う話。
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